取り戻す。

August 10, 2018

 

 

 

『野菜は作るより買う方が安いけど、作る楽しみがあるからやめられない』

これは畑をする人たちが揃って口にする台詞。

 

野菜は種から育てなくとも、苗を迎え入れるにあたりまずは土の準備をしてやらなければならないし、実を付けるまでは除虫をし、支柱を立て、タイミングを図りながら追肥をし、水をやり、育つまではとにかく見守らなければならない。

 

安いかは知らないが、実の収穫までに掛けなければいけない手間を考えると、野菜は育てるよりも誰とも知れぬ人が頑張って育てた野菜を買う方が『易い』。

 

 

 

 

ただ、その裏側を見逃さないで欲しい。自ら育てず、スーパーや直売所で袋詰めされているものを購入することを選んだならば、もぎたて野菜の新鮮さのみならず、育てる経験そのものを失うことになる。

 

野菜を買うという行為は、社会に差し出した時間と労力でもって入手したお金との等価交換だけでは終わらず、育てるという貴重な機会の喪失に繋がる。もてはやされる『易さ』とは、なんと怪しいことか。

 

 

 

 

花もまた同じ。切り花を買ってきて花瓶に挿すよりは、育てながら愛でる方がその人の目に映る花の美しさは増大するだろう。少なくとも、我々の目にはそう映る。

 

何が自分に向いているか、何が自分を喜ばせてくれるかは経験をしてみないと分からない。だからこそ、経験とは何ものにも代え難い行為であり、その行為は進んで取りにいかなくてはならない。

 

暮らしの中の楽しさも彩りも、社会の中の『消費しなさい』という声に黙って従う事によって奪われる機会というものは、人々が想像するよりも遥かに重く、大きい。

 

 

 

 

野菜でも花でもいい。もしも少しでも興味があるならば、迷わず気負わず、とりあえず育ててみて欲しい。それは物凄く楽しいかもしれないし、全く楽しくないかもしれない。それでも確実に、世の中の『これしなさい』によって奪われている機会をひとつ体験出来るのだから、やってみる価値は十分にある。そして我々もまた、数ある隠された機会を丁寧に取り戻していき、此処を訪れる人々と共有していきたいと思う。

 

 

 

 

 

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